事業再構築の5つ指針の内、「新分野展開」を解説していきます。
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自分で事業計画書を書けるようになるお手伝いができれば本望です。
まず、事業再構築指針の全体像の解説ページはこちらから
新分野展開の概要・定義
今回は事業再構築補助金の5つの定義の内、「新分野展開」を説明していきます。事業計画書を作ったり、自分の事業を確認するには以下の流れで考えることがオススメです。
そもそもどんなものなの?
まずは定義を確認していこう
- 「新分野展開」とは主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することを指します。
- 「新分野展開」に該当するためには、『製品等の新規性要件』、『市場の新規性要件』、『売上高構成比要件』の3つを満たす(=事業計画において示す)必要があります。
主たる業種・事業ってなに?
新分野の該当する3つの必要がわかりにくい!
①主たる業種・事業は変更しないこと
主たる業種・事業の定義は必ず確認
一見、簡単そうに見えないですか?「●●業」みたいな感じですかね?
これをきちんと調べていないと痛い目を見るよ。
場合によっちゃ、申請書をやり直すとか…
絶対いやだ…
これは、日本標準産業分類で決められているんだよ。リンクを貼っとくから確認してね。
仮にホテル業を営んでいる人は下図の感じだね
新分野展開は、「大分類・中分類・小分類・細分類」のどれも変えない。
新製品は、販売する市場を変えることで事業を拡大するのもよいかもね。
宿泊業の例え
既存の宿泊業が個人向けだったら、団体やファミリー向けのサービスを新しく作るのも良いかもしれないですね
事業や業種が変わると選択する指針が変わってくるよ
繰り返しになりますが、今の事業と今回、挑戦する新規事業について、業種と事業の区別が大切です。
間違った指針を選択して、要件に該当しないケースもあるので本当にご注意ください!
調べ方や定義の確認は別の記事で解説していますので、こちらから確認してくださいね。
➁満たすことが必要な3つの要件
新規事業の内容が決まったら、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」を満たせるか確認していきましょう。
この要件は全部満たす必要があるよ。
まずは、『製品等の新規性要件』を見ていこう。
『製品等の新規性要件』
~ 製品等の新規性 ~
3か条
- 過去に製造等した実績がないこと
- 主要な設備を変更すること
- 定量的に性能又は効能が異なること
なんか、難しそうな言葉もある…
こっからは、簡単な例も入れて説明していくから安心して♪
① 過去に製造等した実績がないこと
簡単にいうと…
過去に挑戦したことがない取組みにチャレンジしよう!
NG例)ケーキ屋が昔作ったプリンを再度開発
じゃあ、今回は、昔に作ったことがあるシュークリームを販売してみようかな。申請書、作らなきゃ♪
う~ん…人の話聞いてたのかな…(笑)?
過去に実施したことがある事業をもう一度行うことは、新しい製品やサービスを作っているとは言えません。
と、いうことで…
新しい挑戦することで今の業績を再構築
過去に実施したことがある事業
② 主要な設備を変更すること
今の設備でも新しい業種の新製品を作れるかもしれないのに…
せっかく補助金があるんだから新しい設備を使って良い製品作ろうよ!
補助金を使って設備を変更することで新規事業を進めていきましょう!
NG例)ケーキ屋が新しくプリンを開発
今の設備よりグレードの高いオーブンを買って、新製品のプリンを作ろうかな♪
新しい製品ではあるけど、その設備だと、ケーキを焼くときにも使えるからNGだよ!
種類の違う設備で新しい挑戦をしよう!
③ 定量的に性能又は効能が異なること
うーん…どういうこと?
まずは、例で確認しよう!
例)比較したいけど…
- 既存事業
飛行機部品を作ってるよ
- 今回の事業
補助金で医療機器部品を作れる設備を導入するよ。
飛行機部品の製造技術を活かすんだ。- 比較したいけど…
-
飛行機部品と医療機器部品は比較が難しいし、導入する設備も違いが多すぎて説明できない。
新しい製品やサービスを作ることで既存製品が変わるから比較できるケースは少なそう。
比較できない場合は、比較できない理由を申請書で説明すれば大丈夫みたいだよ。
なんか、難しくかいてあったけど、新事業と既存事業では比較できないことの方が多いってことね♪
新規性が心配な方のために
新規性といっても、日本一みたいに、あっと驚く新製品やサービスは作れないですよ…
大丈夫!新規性は「自社」にとっての新規性だよ。
これは、事業再構築指針のP5の下に書いてあるから安心して♪
「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。
結構小さく書いてある…
新製品は自社ベースで考えたらOK。けど、ライバルが多すぎることはよくない。
『市場の新規性要件』
既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
ちょっと説明が長くなるので、まず結論から…
新規事業と既存事業の相乗効果で業績拡大となる事業計画を作ろう。
よし。じゃあ、説明に入ろう。
うーん…
代替性ってどういう意味?
★代わりになれる性質・性能
代替性が低いということは、代わりになりにくいということ
既存事業と新規事業の違いがはっきりしていて、「どっちもうまくいかない…」っていう状況を防ぐということですね。
そう。どちらかの事業がうまくいくのではなく、それぞれの良さを活かすことで相乗効果生むことになることが理想だよ。
既存事業と新規事業の種類が違うけど、相乗効果で売上UP!
- 新規が既存の製品・サービスが似ている
- 既存と新規の種類は違うけど、相乗効果が狙いにくい
- 既存と新規のどちらかが崩れて経営がうまくいかない…
新製品を販売したけど、既存製品が売れなくなって、売上が大きく下がったよ…
なんてことがないように事業計画を立てて実施しよう!
既存の事業があってこその新規事業ですもんね
しっかりとした計画書をつくらなくっちゃね
『売上構成比が最も高い』
新規事業の売上が総売上の10%となる
新分野展開の場合、新しく始めた事業(中・小・細分類)が総売上の10%以上にならないといけない。
これっていつまでに達成しないといけないんですか?
新規事業を開始してから3~5年間の間だよ。
具体例を用意しておくね。
例)3年後に新規事業がメインの事業になる
既存のホテル事業(宿泊業・中分類)は個人向けで年商2,000万円。
さあ、今回は、ファミリー向けにプール設備を設置して新メニューを展開!
- 既存事業の売上は2,000万円で維持できた
- 新規事業は売上2,000万円に成長!
2,000万円(新規事業)÷4,000万円(総売上)
新規事業が総売上の10%以上となっているので要件達成!
今までは個人向けだったけど、ファミリー層を集客することで単価もupだね。
わたしも家族で来ようかなあ♪
テンプレートを作りました
Word・PDFで無料ダウンロード
事業計画書で新分野展開をまとめるためのフォーマットを作成しました。
MicrosoftのWordで製作し、PDFでもダウンロードできるように添付しています。
中小企業庁が参考書類で掲載している事業計画書の1ページ目に該当する内容となっています。
あくまでも「にこいち会議所」が作成したものであり、採択になる書類であるかはわかりません。
もし、申請書にご利用される場合は自己責任でお願いします。
新分野展開のまとめ
- 業種と事業をしっかりと区別して既存事業と新事業の整理をすること
- 3つの要件をすべて満たすこと
- 過去に製造等した実績がないこと
- 既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
- 売上高10%要件
すごく簡単にまとめると・・・
新分野展開は、自分たちが実施したことがない事業を新規の市場で実施すること。
そして、3~5年後は、新事業が年商の10%以上となっている計画書をつくること!
新しい製品やサービスで売上増加のチャンス!
みなさんの申請書が採択されますように♪